『逆襲の果てに待つものは』



「え、えぅ? お、お姉ちゃん? これはいったいどういうことです?」

 言いながら、あたしに物問いたげな目を向けてくる栞。完全に困惑顔になっている。
 それはそうだろう。寝ていたところを頬をペチペチと叩かれて起こされてみれば、自分の手足がベッドに手錠やロープで拘束されているのだから。しかも全裸で。

「うふふ。綺麗よ、栞」

 栞からの問いをスパッと無視して、あたしは妖艶な笑みを栞に投げかける。

「いままで、栞に『いろいろ』されちゃったからね。ちょーっとお礼をしてあげようかと思って」

「い、いろいろって……つまり、ああいう事やこういう事ですか?」

「ええ、そうよ」

 ちょっぴり冷や汗を流しつつ尋ねてくる栞に、あたしは無表情で簡潔に答えた。

「で、では……お礼って……」

「多分、栞が想像した通りの事よ。これまでにされた事を一度に全部返してあげるわ」

 言いよどむ栞の後を次いで、問答無用にズバッと言い切るあたし。
 それを受け、栞の頬が如実に引き攣る。と同時に、妙に納得顔になった。

「……なるほど。おかしいとは思ってたんです。今日に限って夕食を食べた途端に眠くなるなんて。さてはお姉ちゃん、一服盛りましたね」

 ジトーッとした目で確信を込めて栞が訊いてくる。その問いに、あたしは冷笑を以って答とした。

「ふ、不覚です。このぷりてぃしおりんが睡眠薬なんて初歩的なトラップに引っ掛かるなんて。屈辱です。おのれーって気分です」

 栞が心底悔しそうに歯噛みする。この表情が見られただけで『我、復讐に成功せり』って感じだ。
 もっとも、これだけで済ます気も無いけど。

「ところで、こんな手錠なんて素敵アイテムをよく持ってましたね。どうやって入手したんです?」

 自らを拘束している手錠に目を向けて栞が問う。

「相沢くんに借りたのよ。彼がどんなルートでそれを手に入れたかまでは知らないけど」

 どんな『目的』で入手したかは知り尽くしているけどね。
 何度も何度も身体で思い知らされちゃってるし。

「な、なにを真っ赤な顔をしてるんですか!? いったいどんな事を思い浮かべてるんです!? えぅー、祐一さんズルイです! こんなドキドキアイテムをお姉ちゃんだけに使うなんて! そりゃ、わたしはお姉ちゃんみたいなマゾっ娘じゃないですけど、でもでも、わたしだって祐一さんになら!」

「誰がマゾっ娘よ、誰が!」

 戯けた事を叫ぶ栞にあたしは一喝。

「え? お姉ちゃん、まだ認めてないんですか? いつもいつもいぢめられて悦んでるのに? 本当に往生際が悪いですねぇ」

 栞が本気で呆れた声を出した。ハァ〜と豪快なため息付きで。

「う、うるさいわね! そ、そもそも、そんな事はどうでもいいのよ! それよりも!」

 あたしは大声を張り上げ栞の口を止めさせる。
 別に『誤魔化してる』とか『図星を指されたのが痛かった』とかそういう事じゃないからね。ええ、決して。

「今はあたしじゃなくて栞の事、でしょ。ふふっ、今夜はたっぷりと泣かせて鳴かせてあげるわ」

 表情を冷艶な物に変え、あたしは栞の瞳を覗き込みながらそう宣言した。

「お姉ちゃん。そういう物言い、全然似合ってないですね。なんか滑稽です」

 ……どやかましい。
 吹き出しそうになるのを我慢して顔を歪めている栞に、あたしは心の中でツッコミを入れる。

「そんな余裕綽々な事を言っていられるのも今のうちだけよ。すぐに許しを請うようにしてあげるから」

 言うや否や、あたしは始まりを告げるように、栞の頬に軽くキスをした。

「さて、それではまずは……」

 ……まず、は?
 え、えっと……これからどうすればいいんだっけ?
 あたしは必死に知識を総動員させた。

「……た、確かこうして……」

 あたしはそっと栞の胸に手を添えた。

「胸のふくらみを優しく……って……無いわね、ふくらみ」

「え、えぅー!? いきなり何て事を言うんですか! そんなこと言う人嫌いですぅ!」

 不安そうな顔であたしの動向を見守っていた栞が猛烈に抗議してきた。

「ま、そんな些細な事はどうでもいいか」

「どうでもよくないですぅ!」

「仕方ないわね。それじゃ……」

 栞の声をキッパリと無視して、あたしは平らな胸に置いた手をゆっくりと動かし始めた。

「……っん」

 栞が微かに声を漏らす。
 それを耳に心地よく感じながら、あたしは更に愛撫に力を込めていく。

「うふふ。どう、栞。気持ち良いかしら?」

 笑いかけながら、あたしは栞の可愛い胸の尖りをピンと弾いた。

「きゃん!」

 栞の口から甲高い声が飛び出す。身体にもピクッと小さく痙攣が走った。
 ……な、なんか面白いかも。栞があたしをあれこれしたくなる気持ちもちょっとだけ分かっちゃったりして。
 こちらの施す愛撫に栞が反応するのが楽しい。
 気を良くしたあたしは、もっと栞に声を出させたくて、栞の胸の先端を口に含んだ。
 甘噛みし、嘗め回す。

「……ぁっ……んん……」

 えっと、それで次は……次は……ど、どうするんだろ? そ、そろそろ下かしら。
 胸から口を離し、あたしは栞の下腹部へと視線を移した。
 そして、遠慮がちに栞のオンナノコへと指を這わせていく。

「んっ」

 途端、栞の脚が少しだけビクッと震えた。

「え? あ、そ、その、い、痛かった?」

 反応に驚いて、あたしはオロオロしながら栞に尋ねた。

「いいえ。そんなことはないですよ」

「そ、そう」

 よ、良かった。どうやら問題ないみたいね。
 安堵したあたしは、栞の秘所に添えた指をゆっくりゆっくり動かして愛撫を再開した。

「……ぁふ……ぅ……」

 本やネットから必死になって掻き集めた知識を使って栞を攻め立てる。
 ――でも、その割には全然濡れてこないわね。な、なにがいけないのかしら? 胸も触ったしアソコだって弄ってるのに。これだけされたら普通は濡れるわよね。少なくとも、あたしだったらもう今頃は……。個人差? 栞って濡れない体質?
 内心で首を傾げながらも、あたしは一生懸命に手を動かしていく。
 栞の幼いとも言えるオンナを擽り、その端に佇んでいる快楽の尖りを優しく引っ掻く。
 加えて、口で胸全体を愛していく。舐め、吸い、噛み。

「……っ……あ……」

 思い付くままに刺激を与え、最後にトドメとばかりにク、クリ、ク……つ、つまり、最も敏感な所をキュッと抓った。

「んあっ」

 栞が全身を微かにビクンと跳ねさせる。

「……えっと……ど、どう? イッた?」

 その姿を目にして、あたしはおそるおそると言った風に栞に尋ねた。

「は、はい?」

 返ってきたのは、栞の困惑気な声。『なにを言ってるの?』とでも言いたげな不思議そうな声色。

「あ、あれ? もしかして……全然?」

 驚きを込めてあたしが訊き返す。
 すると栞は、

「……い、いえ! そんなことないですよ。イッちゃいました。それはもう物凄く。これ以上されたら死んじゃうってくらいに!」

 なにやらハッとした顔をすると、慌ててそんな返答を寄こしてきた。
 妙な間があったのが些か気になるけど、きっと絶頂の余韻に浸っていた所為ですぐに答えることが出来なかっただけね。
 あたしはそう解釈し、その自らの考えに深く納得した。

「ならいいけど。さて、それじゃ次は……」

「ちょ、ちょっと待って下さい」

 当然一回程度で終わらせるつもりなんて無い。これからもっともっと可愛がってあげる。
 そう思って発したあたしの言葉を、栞が懇願する目をして遮ってきた。

「ん? なーに? 言っておくけど、まだまだ終わらせる気は無いわよ」

「それはこっちのセリフ……じゃなくて……えっとですね、出来ればそろそろ手足の拘束を解いて欲しいんですけど。手首とか擦れて痛いですし、結構辛いんですよ。ねっ、いいでしょ?」

 栞の要求する事を聞いて、あたしはちょっとだけ考え込んだ。
 手首に填められた手錠と足に縛り付けられたロープ。これらはあたしの優位を絶対的な物にしているアイテムである。それを外すというのは自分の優位性を捨てるという事になる。

「ねっ、ねっ、お姉ちゃん。外してください。お願いしますぅ」

 熟考しているあたしの耳に栞の甘えた強請り声が届いた。見ると、栞は目をウルウルと潤ませちゃってもいる。
 ――う゛っ。栞のこういう態度には弱いわ。つくづく、あたしは、自分が栞に甘い人間であるということを再認識してしまう。栞の『お願い』にはどうも逆らえない。

「ま、いっか」

 どうせ既に力なんか入らない状態になってるでしょうしね。
 ため息混じりに呟くと、あたしは近くに置いてあった手錠の鍵を取ってきて、栞の手足を一つずつ解放していった。

「はい、これで全部外したわよ」

「ありがとう、お姉ちゃん。お礼に……こんなことしちゃいますぅ♪」

「え? ええっ!?」

 気付いた時には遅かった。まさに油断大敵である。……ついでに、後悔役立たず。
 あたしは、栞にうつ伏せに押し倒されると、両手を背中側に揃えられ、奪い取られた手錠でガチャッと拘束されてしまった。

「し、栞!? これは何の真似よ!? 早く外しなさい!」

「嫌ですよぉ。だって、これからたーっぷりとお礼するんですからぁ。己の分を弁えずに、このらぶりぃしおりん相手に攻め役を演じようなんて大それた事を考えたお姉ちゃんへ、ね♪」

 心底楽しげに宣う栞。あたしの背筋に冷たいものが走った。

「お、お礼って……。そ、それはそうと、なんであなたそんなにピンピンしてるのよ!? あたしに攻められてイッちゃったんでしょ!?」

「イッちゃった? ああ、あれ、ウソです。大ウソ。真っ赤なウソ。超過敏なお姉ちゃんじゃあるまいし、あんなのでイクわけないじゃないですか」

「……っ!?」

 アッサリと言われてあたしは言葉を失くしてしまう。ぐぅの音も出ない。

「少しは気持ちよかったですけどね。動けない状態で好き勝手されるというのも、これはこれでなかなか乙なものでしたし。ですが、お姉ちゃんの稚拙なテクニックでは、とても絶頂なんて出来ませんよ」

「……ぅぅ」

 頭の中で『ガーン』という音が鳴り響いた。

「けど、総受けのお姉ちゃんにしては頑張った方じゃないでしょうかね。ですから、そのご褒美として、わたしがいっぱいイカせてあげます」

「い、いらないわよ、そんなご褒美なんて! そもそも、さっきは『お礼』って言ったじゃない! 思いっきり仕返しじゃないのよ。それのどこがご褒美なの!?」

「ご褒美で、お礼で、尚且つ仕返しなんですよ。まあ、細かいことは気にしないで下さい」

 あたしの怒声をさらっと流して、栞がいけしゃあしゃあと言い放つ。

「ではでは、お姉ちゃんも納得してくれたところで、さっそく始めちゃいましょう♪」

「な、納得なんてしてな……こ、こらぁ……や、やめ……っあ! んあぁっ!」

 あたしの服を捲り上げると、栞は背中をツツーッと舐めながら、脇腹へも指を這わせてきた。
 強いこそばゆさと、その中に潜んでいる緩やかな甘美感に、あたしは思わず声を発してしまう。

「うわ。お姉ちゃん、相変わらずすっっっごく敏感ですね。超感覚です。ア○ルマンみたいです」

「そ、そんなのと……んっ……いっしょにしな、いで」

 栞ってば例えがマニアックすぎよ。
 それが分かるあたしもあたしだけど。

「お姉ちゃんの肌、とっても甘いです。もう全身舐め尽くしたい気分ですね」

 言いながら、栞が丹念に丹念に背筋を舌でなぞり上げる。

「ふあぁっ! しお、りぃ……やめなさ……んくっ!」

「お姉ちゃんって背中も美人なんですね。でも、わたしはやっぱり前の方が好きです。……攻めてて面白いですし」

 不穏な事を口にしつつ、栞が「うんしょ」とあたしの身体を引っくり返した。
 そして、背中側と同様に服を豪快に捲り上げてしまう。次いで、ブラも。解放された胸が微かに揺れる。

「……第一ターゲットは決定です。羨ましいやら憎たらしいやら。まったく、わたしの目の前で揺れるなんてあてつけですか? お姉ちゃん、極悪人です。相当に好きじゃないです。そんな酷な事は無いでしょう」

 言い掛かりもいいとこのセリフを吐いてくれる栞。
 ――どうでもいいけど混ざってるわよ、いろいろと。

「このおっぱい、ムチャクチャにしちゃいます」

「し、しお……んぁ! んんんっ」

 ムチャクチャとの言葉とは裏腹に、栞は優しく優しく壊れ物を扱うかのような手付きで刺激を与えてきた。

「あっ、っ、ふあぁっ」

 触るか触らないかの微妙な愛戯。それがあたしの官能を否応なしに掘り起こしていく。

「うわ。まだ、ほんのちょーっとしか触ってないのに、ここ、すっごく固くなっちゃってますよぉ。お姉ちゃんって、やっぱり超過敏なエッチな身体してますねぇ。もっとも、今の『手錠を使われちゃってて動けないの。あーん、あたし抵抗できなーい』というシチュエーションに興奮しちゃってる部分もあるんでしょうけど」

 言うと同時に、栞が、あたしの胸の先端で自己主張を始めてしまっている『それ』にフッと軽く息を吹き掛けた。

「ああっ!」

 全身を強い快感が走り抜けた。電気を流されたみたいに身体中がビクッと震える。

「あはは。お姉ちゃん、本当に敏感。可愛いです」

 あたしの反応がお気に召したのか、栞が何度も何度も立て続けに吐息をぶつけて来た。

「きゃん! ひあっ! っ! くぅぅ!」

 その度に、鋭い嬌声を放ってしまうあたし。
 そして、それを見て更に調子に乗る栞。
 しばらく、そんなあたしにとっての悪循環が続けられた。

「ねえねえ、見てください。お姉ちゃんの乳首、触ってもいないのに、もうこれ以上はないってくらいにピンピンです。これ、すっごく充血しちゃってますよ。きっと、とんでもなく過敏になっていそうですね。この乳首を舐めしゃぶったり、クリクリと刺激したりしたら……お姉ちゃん、どうなっちゃうんでしょう? 試していいですか?」

 意地悪い笑みを浮かべつつ栞が尋ねてくる。
 しかし、あたしに答える余裕なんて無かった。栞の息攻撃だけで激しく悶えさせられてしまい、早くも気息奄々にされてしまっていたから。あたしに出来る事は力無く首を左右に振ることだけだった。

「んんー、答が無いですねぇ。まあ、否定しないってことはOKってことですよね、きっと、たぶん」

 あたしの首の動きが見えているはずなのに、栞はサラッとそんなことを宣う。
 この時点で、あたしの運命は決まった。

「では、いっただっきまーす♪」

 パンと手を合わせてそう宣言すると、栞はあたしの――怖いくらいに感じるようになってしまっている――胸の突端へと集中攻撃をしかけてきた。

「ひあああぁぁぁっ! んぐぅ、ああぁ!」

 舌で舐め回し、唇で挟み、歯で甘噛む。

「ひゃふっ、ぅ、ふぁっ!」

 指で押し込み、弾き、摘み、転がし。

「だめぇ、だめ……だ、ぇあああっ……らめぇぇ!」

 左右同時に、強く強く攻め嬲られた。音を立てて吸い上げられ、ギュッと痛いほどに捻り上げられた。
 その瞬間、自分でも信じられないことに、あたしは、あたしは、

「ふぁっ、あぁ、んあああぁぁぁぁぁあああっ!」

 胸だけで意識を弾けさせてしまった。
 全身がビクンビクンと震えている。

「えぅ? あ、あれ? お、お姉ちゃん?」

 栞が、呆気と驚きの入り混じった複雑な色合いの声を上げた。

「あらら。まさか、本当にたったこれだけでイッちゃうとは思いませんでした。お姉ちゃんってば、ほんっとうに過敏なんですねぇ♪」

 あたしの姿を見ながら、栞が満足感を漂わせて笑い言う。
 ――嬉々としてあたしの下着を腰から下ろしつつ。完全には脱がさずに、片方の足首に残している辺りが我が妹ながらマニアック。

「それにしても、乳首だけで達しちゃうなんて。ダメダメですよぉ、お姉ちゃん。まだ、ここ、全然可愛がってあげてないんですから。もっと頑張ってくれませんと」

 脱力しているあたしの足を大きく開かせると、栞は問答無用で指を這わし、尚且つ突き刺してきた。あたしの、既にグチョグチョに濡れそぼってしまっているオンナノコへと。

「あああっ! や、やめて、栞! 許して!」

「だーめですぅ。胸ばかりじゃ不公平ですからね。ここだって、いーっぱい触ってあげないと可哀想です」

「そ、そんなワケのわからない事を……んあぁぁああっ」

 あたしの抗議をキッパリと無視して、栞は手を動かし始めた。

「もうビッショリですから指がスムーズに動きますねぇ。どんな動きも自由自在です」

「ひああぁぁあ! や、やめ……っっっ!」

「ですから、思わず、お姉ちゃんのすっごく感じるこーんな所も全力で刺激しちゃったりして」

 楽しそうに笑いながら、栞はあたしの膣の最も弱い部分を二本の指を使ってコリコリと引っ掻いた。一切の容赦なく。
 絶頂直後で全身がいつも以上に脆くなっているあたしに、その酷な攻めが耐えられるわけがなかった。

「んんんっっ! あ、あああぁぁあああああぁああああぁぁぁっ!」

 呆気なく、果てた。
 しかし、

「あはは、潮を吹いちゃってます。すごいすごい。けど、まだまだ攻めてない部分は残ってますよ」

 栞は満足してくれない。
 弛緩しているあたしの身体を尚も攻め続ける。

「今度は一番敏感なお豆ちゃんです」

 宣言どおり、栞はあたしの最大の弱点である場所に攻めを加えてきた。

「ちゃーんと包皮を剥いて……えい、です」

「っっ!? ひっ、くぅぅぅ!」

 親指で捏ね回すようにして転がしてくる。
 強すぎる快感に、あたしの全身が痺れ、頭の中が真っ白になっていった。

「そうですねぇ。このまま3分間、お姉ちゃんが一度もイカなかったら今日はもう終わりってことにしましょうか。でも、途中でイッちゃったらまた最初っからやり直しってことで。うん、そうしましょう」

 勝手に変なルールを決める栞。
 猛烈に抗議したいところであるが、今のあたしにそれは無理。
 口を開けば嬌声しか出ない。

「それじゃ、よーいスタート!」

 時計に視線を送りながら栞が号令をかける。
 けれども、その瞬間、

「ふああぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁ!」

 あたしは弾けていた。

「――って、お姉ちゃん! 早すぎです! てか、スタート早々にイッちゃわないで下さい!」

 頬を膨らませて栞が怒る。
 けど、何と言われようと無理なものは無理。こればかりはどうにもならない。

「あああぁぁっ! ひぃぃ! んくっ、ひあぅ、ぃああああぁぁぁぁっ!」

 栞が文句を言ってる横で、あたしは何度も何度も果てまくってしまう。
 もはや我慢なんて出来る状態じゃない。

「うーん。なんだかなぁ、です。ここだけ攻めてるからダメなんですかねぇ。他の所も一緒にいぢめたら、少しは気が紛れて我慢出来るようになるかも」

 イキっぱなしになってるあたしの耳が、妙にハッキリと栞の恐ろしい言葉を捉えた。
 思わず目を見開いてしまうあたし。刹那、栞と視線が交差した。
 あたしの方を見て、栞がニッコリと可愛らしく微笑む。
 そして、始めた。

「――!? っっっ!? っっっっっっっっ!」

 あまりの衝撃に声も出ない。
 あたしの弱い部分を、三つの尖りを、感じすぎるオンナの部分を、栞は同時に攻めた。弄んだ。

「っっっぁ! っ! っっっぁぁぁぁっ!」

 快楽という名の劇薬で、

「っっっっっっっ、っぁぁっっっっ、ぁぁぁぁっぁぁっっ、ぁぁぁあああああ」

 破壊した。

「ああぁぁぁああああああぁああああぁぁぁっっっ!!」

 完膚なきまでに木っ端微塵に砕かれ、あたしは果ての果てへと昇り詰めた。昇り詰めさせられた。

「……ぁぁ……っ、ぁ……ぅ……」

 昇り詰め、昇り詰め、真っ白な闇へと堕ちていった。



「――ありゃ? お姉ちゃん、失神しちゃいました? ちぇっ、もう少し楽しみたかったのにぃ。やっぱり同時はきつかったみたいですね。ま、いいです。これで今後は変な気を起こすことはなくなるでしょうし。でも……」

 わたしは、グッタリと横たわっているお姉ちゃんの姿を見ながら呟いた。

「何度も向かってきてくれた方がいいかもしれませんね。その方がいろいろと『口実』が出来ますし。ですから……」

 お姉ちゃんの頬にそっと口付け。
 次いで、お姉ちゃんから手錠を外すと、少し赤くなっている手首にも唇を付けた。

「また、挑んできて下さいね。その日を楽しみにしていますから」

 もっとも、お姉ちゃんが来なくてもわたしから行きますけどね♪



○   ○   ○



 ――余談。

「見てなさいよ。次こそは……次こそはギャフンと言わせてあげるんだからぁぁぁ!」

 後日、鬼気迫る表情でネットで情報収集する香里の姿があったとかなかったとか。






< おわり >




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