『姉妹でお風呂 再び』
「ただいま」
「ただいまですぅ」
声を揃えて帰宅の挨拶をするわたしとお姉ちゃん。
でも、それに応える声はありません。お父さんもお母さんも、今日はお仕事の都合で家を空けているのです。明日までわたしとお姉ちゃんの二人きりです。
さて、お母さんがいないということは、晩御飯は自分達で作らなければいけないということ。従って、わたしとお姉ちゃんは、下校途中に近所のスーパーに立ち寄って数々の食材を買い込んできました。わたしたちの持つ袋から、ニンジンや長ネギ、お肉のパック等々が顔を覗かせています。
「ふぅ。無茶苦茶重かったわ。やっぱり、いくらなんでも買い込みすぎよね」
スーパーの名前がプリントされた半透明の袋を台所に運びつつ、お姉ちゃんが吐息混じりに零しました。
「そんなことないです。これでも足りないくらいですよ」
袋から数々の食材と取り出しながら、きっぱりと言い切るわたし。
そんなわたしに、お姉ちゃんは呆れたような白い視線を向けてきました。
「あのね、栞。念の為に言っておくけど、今日はあたしと栞の二人だけだからね。いつも相沢君に届けている重箱弁当みたいなのは勘弁してよ。そんなに大量に作られても絶対に食べきれないんだから」
「平気です。もしもの時は祐一さんもお呼びしますから問題なしです」
ニッコリと必殺のしおりんスマイルを浮かべてわたしが返します。
すると、何が気に入らないのか、お姉ちゃんは「ハァ」と深いため息。
「……ま、いいけどね。栞の調理量に関しては既に諦めてもいるし」
「どういう意味ですか、それは」
聞き捨てならない事を吐き零すお姉ちゃんに、わたしは頬を膨らませて抗議です。
「言葉通りよ」
対して、お得意の台詞を返してくるお姉ちゃん。
「そ、そんな事言う人嫌いです!」
対抗するように、わたしも決め台詞を炸裂です。
――と、その様な事を言い合っているうちに一頻り食材の整理・収納を終えたわたしとお姉ちゃん。
一時的にとは言えやることが無くなり、気が抜けると同時にホッと一息です。
「お疲れ様でした、お姉ちゃん。ジュースでも飲みますか?」
「んー、あたしはいいわ。あたしはこれからシャワーを浴びてくるから。晩御飯の支度の時間までに一度汗を流しておきたいし」
「シャワーですか?」
わたしもお姉ちゃんも、お買い物をしてきた所為で普段より余計に汗っぽくなっています。
従って、シャワーを浴びてサッパリしたいという欲求は至極当然のものでしょう。
もちろんわたしだって同じ思いがあります。となれば、することは一つですね。
冷蔵庫から取り出しかけたジュースをしまい直すと、わたしはお姉ちゃんに提案しようとして口を開きました。
「ねえ、お姉ちゃん。わたしも一緒に」
「絶対に嫌」
しかし、わたしが言い終わる前に、お姉ちゃんにバッサリと断ち切られてしまいました。
すっごくえぅーな感じです。
「な、なんでですかぁ!?」
「危険だもの。栞と一緒にシャワーだなんて、何をされるか分かったもんじゃないわ」
お姉ちゃん、わたしの抗議を一刀両断。
無意識にか、胸を腕で覆い隠している仕草をしているのがとっても萌え……もとい、失礼です。
「酷いです。そんな警戒しなくてもいいじゃないですかぁ!」
「警戒するに決まってるでしょ。前例があるもの」
言いつつ、お姉ちゃんの頬が薄っすらと朱に染まりました。きっとこの前の事を思い出しているのでしょう。
「今日は大丈夫です。変な事はしませんから」
「……どうだか」
あからさまに疑惑の目を向けてくるお姉ちゃん。
「絶対に大丈夫です。約束します」
「本当に? 本当に変な事しない?」
「しません! 安心して下さい! だから、一緒にシャワーを浴びましょ。ねっ、お姉ちゃん」
わたしが笑顔で訴え続けると、お姉ちゃんはため息を漏らしつつ「仕方ないわねぇ」といった顔になりました。
「分かったわ」
やれやれといった表情でお姉ちゃんが首を縦に振ります。
「わーい。ありがとうです、お姉ちゃん」
「その代わり、約束だからね。変な事は絶対に無しよ。いいわね?」
人差し指を立ててお姉ちゃんが念を押してきます。
それに、わたしは満面の笑顔で答えました。
「はい、もちろんです。変な事はしません」
○ ○ ○
「――って、言ってたのにぃ! 栞のうそつきーっ!」
「心外ですね。わたしはウソなんて言ってません」
わたしはお姉ちゃんに背後から抱き付き、ボディソープに塗れた手をお姉ちゃんの身体に這わせていました。
基本的に胸を。重点的におっぱいを。特にバストを。
「へ、変な事、しないって……んんっ……い、言った、じゃない」
「変な事なんてしてませんよぉ。わたしはただお姉ちゃんの身体を洗ってあげているだけですし」
答えながらも、わたしは手の動きを止めません。ゆっくり、やわやわと、丹念に胸の形を変え続けます。
「そもそもですね。こーんな綺麗なおっぱいを前にして何もしないなんて、お姉ちゃんの美乳に対する冒涜です。そんなの却って変です。だから、わたしの行為は当たり前の正しいものなんです。ちっとも変な事じゃありません」
ふっ、我ながら完璧な理論武装です。反論の余地無しですね。
にも関わらず、お姉ちゃんからは文句言いたげな雰囲気がビンビン伝わってきます。
「あ、あなたって子は……。や、やっぱり……栞と一緒になんて……は、入るんじゃ、なかったわ」
「後の祭りですね、お姉ちゃん」
鬱々した空気を纏ってのお姉ちゃんの嘆きを、わたしはこのような場合を表す際に最も適していると思える言葉を用いてサラッと流しました。
「ひ、他人事みたいに言わないでよ。ううっ、栞を信じたあたしがバカだったわ」
お姉ちゃんの言葉と背中が哀愁を漂わせていたりします。ガックリと落ちた肩が哀れを誘います。
「あ、お姉ちゃんってば完全に気落ちしちゃいました。でも、心配御無用です。安心して下さい。わたしが愛情たっぷりのスキンシップで慰めてあげますから。責任を持って癒してさしあげます♪」
言いながら、わたしはお姉ちゃんの胸にむにゅっと埋まっている指の動きを早めました。
「あっ……し、しお、りぃ……や、やめ……んあぁっ」
途端にお姉ちゃんの口から迸る甘い嬌声。
「うふふ。柔らかいですぅ。お姉ちゃんのおっぱい、気持ちいいですぅ」
裾野から登頂に至るまで、胸全体に満遍なくボディソープを染み込ませていきます。
「んんっ、ふあぁ……ああぁっ」
撫で、擦り、揉み、時には掴み。
「栞……ゆ、許し……ひあっ……」
更には、固く尖ったピンクの粒を弾き、摘み、潰し。
「あひぃぃいっ! し、しお……んんんっ、し、しおりぃぃ」
手の平全体で、十本の指全てで、お姉ちゃんの胸の感触を味わい尽くします。
「良いなぁ、お姉ちゃんのおっぱい。ふわふわだし綺麗だし大きいし。わたし、羨ましいです」
指を胸乳に埋めながら、わたしは感嘆の吐息を漏らしました。
「べ、別にあたしの胸は大きくはないわよ。確かに栞よりはボリュームがあるけど、それは単に栞のが小さすぎる……う、ううん。なんでもないわ」
放たれた暴言を聞いて、わたしの頬がピクッと引き攣りました。額に青筋なんかが浮かんじゃったりしてるのが自分でもよーく分かりました。
ふ、ふっふっふ、ふっふっふっふっふっふっふっふ。
また言いましたね、お姉ちゃん。前回同様に。ホント、良い度胸してやがります。
まあ、わたしにだって自覚はありますし、『小さい』ならまだ何とか聞かなかったことにも出来ます。ですが、『小さすぎる』ってのはなんですか、『すぎる』ってのは!?
お姉ちゃん、何気に頭に乗ってますか? 常日頃から優越感に浸ってましたか?
許しがたいです。ええ、許しがたいですとも。
これは、前回と同じく――
「お仕置きですね」
「え、ええ!? し、栞!?」
わたしの言葉を聞いて、ピクッと身体を反応させるお姉ちゃん。
今頃、お姉ちゃんは緊張と後悔と恐怖が混ざり合った感情を抱いて軽いパニック状態に陥っていることでしょう。
だからでしょうか。余計な事を口走ってしまったのは。
「ご、ごめんなさい、栞。悪気は無かったの。ただ、つい本音がポロッと零れちゃっただけで」
――プチッ。
頭のどこかでそんな音が響いた気がします。
完全に切れました。ええ、切れましたとも。
実を言うと、今日はおっぱいを触る以上の事をする気は無かったんです。無邪気なスキンシップだけで終わらせるつもりでした。
けど、どうやらお姉ちゃんは地獄のフルコースをご希望のようですね。
お姉ちゃんがそういう態度に出るのなら、わたしも遠慮はしません。バッチリ期待にお応えしちゃいます。
「もう泣いて謝っても許しません。覚悟して下さいね、お姉ちゃん。容赦しませんから」
酷薄とも言える笑みを浮かべると、わたしは右手をソロソロと下げていきました。脇腹やおヘソを擽りながらゆっくりゆっくりと。無論、左手は胸を揉んだまま、朱い突起を転がしたままです。
「っ!? 栞、ダメ。ダメよ」
わたしの右手の行き先を推察し、お姉ちゃんがとっさに自分の『オンナ』を両手でガード。わたしの手が指が触れられないようにしてしまいました。
その様を見て、わたしは思わず唇の端を歪めてしまいました。
甘いですね。わたしの狙いは『そこ』じゃありませんよ。
『前』に全ての意識が行っているお姉ちゃんを嘲笑うかのように、わたしは手をスルッと背中側に移動させました。
「え?」
呆気に取られた、虚を突かれた声を上げるお姉ちゃん。
それを耳に心地よく感じながら、わたしは一気に手を滑り下ろしました。
「し、栞!?」
わたしの狙いに気付いたお姉ちゃんが、ギョッとした顔で振り向こうとした時には既に遅し。
「ひっ!? ひあぁあっ!」
勢いよく下げられたわたしの手は、お姉ちゃんのもう一つの穴へと到達完了。
お姉ちゃんに激しい抵抗をされる前に、中指をツプッと差し入れてしまいました。
「あはぁぁああぁっ! そ、そんな……ぅぁぁ……い、いや、いやぁぁ」
お姉ちゃんが今までよりも一オクターブ高い嬌声を迸らせます。
「……えぅ?」
対してわたしは、ついつい素っ頓狂な声を発してしまいました。
多少の固さを覚悟していたにも関わらず、意外な程すんなりと根元まで埋まる中指。
痛みではなく、あからさまな快楽の声を上げるお姉ちゃん。
それらの事実が、わたしの脳裏に疑問を生じさせたのです。
いくらボディソープで滑りが良くなっていたとは言え、こうまで楽に挿入出来るものでしょうか。甘い声を出せるものでしょうか。
普通は否でしょう。だとすると、考えられる可能性は一つです。
「ひょっとして……お姉ちゃん、こっち、開発済みですか?」
かまを掛ける意味も込めて、わたしはお姉ちゃんに尋ねてみました。
「えっ!? あ、そ、その、それは、だから、えっと」
すると、お姉ちゃんは全身をこれでもかと言わんばかりに真っ赤に染めて、面白いくらいに狼狽してくれました。
これは黒ですね。疑う余地のないほど真っ黒です。
わたしの頭の中を『ガーン』という効果音が鳴り響きました。
ショックです。せっかくお姉ちゃんの『初めて』が貰えると思ったのに。許すまじアムンゼンって感じです。
「相手は誰ですか? 祐一さんですか?」
聞くまでも無いことだとは思いますが、一応確認。もしかしたら自主開発という可能性もありますし。
「う、うん。あたしは嫌だって言ったんだけど、あ、相沢君ってば聞いてくれなくて……その……」
わたしの問いに、お姉ちゃんはモジモジしながらも素直に答えを返してきました。
そうですか。やはり祐一さんですか。
人の事は言えませんが、よりにもよって後ろとは。
鬼畜ですね、外道ですね、ケダモノですね。
まったくもう、祐一さんにも困ったものです。
そんな事をされたら、わたし……わたし……祐一さんの事を……心底惚れ直してしまうじゃないですか。
さすがです、祐一さん。ナイスです、祐一さん。
淡白なフリしておいて、実は無茶苦茶ディープなところが実にしおりん好みです。
お姉ちゃんの初めてを奪えなかったのは本気で残念ですが、祐一さんでしたら許します。
「なるほどなるほど、分かりました。つまり、お姉ちゃんのお尻は既に祐一さんの手によって目覚めさせられちゃってるワケですか」
言いながら、埋没している中指をクイッと。
「あひぃ、んああっ……う、動かさな……ぅあああぁぁあ」
「んー、いい声です。これだけの声で鳴けるという事は、遠慮は一切必要ないですね」
お姉ちゃんの甘くて熱い叫びを耳にしながら、わたしはさり気なく容赦ない台詞を口に。
そして、その己の言葉を証明するかの如く、わたしは指の動きを活発化させました。
「あああぁぁっあぁぁぁ……ひあぁぁぁあ」
捻ったり
「ぁぐっ、ぁぁ」
擦ったり
「ぁひあああぁぁ、ひっ、ふああぁああぁぁぁっ」
引っ掻いたり
「んんんっ、くふぅっ! っっぅっあ!」
それはもう激しく激しく動かしちゃいました。
「……ぁ……っひ……っ……」
「ほら、お姉ちゃん。力が抜けてますよ。もっとしっかり立って下さい」
襲い来る悦楽に膝が崩れかけているお姉ちゃん。今にもへたり込んでしまいそうです。
「これはお仕置きなんですからね。座らせてなんてあげませんよ。お姉ちゃんにはこのまま、立ったままイってもらいますから」
「そん、な……もう、無理……げんか、い……栞……許し……」
非情とも言える台詞を放ったわたしに、お姉ちゃんは浴室の壁に身体を預けながら、「ハァハァ」と荒い息を吐きつつ弱々しい声で訴えてきました。
「ダ・メ・で・す。もっと頑張ってください」
言うや否や、わたしはお姉ちゃんの胸から左手を離すと、
「わたしがしっかりと支えていてあげますから」
すっかりと濡れそぼってしまっている『オンナ』へと移動させ、
「……ぁ……し、しお、り……」
力無くイヤイヤと首を振るお姉ちゃんの怯えっぷりを充分に堪能した後で、
「だから、ちゃんと立っていて下さいね」
人差し指と中指を揃えて、一気に刺し貫いちゃいました♪
「ぅぐっ!」
お姉ちゃんの身体が電気ショックでも受けたかのようにビクンと震えました。
前後の穴に挿入した計三本の指がギュウギュウと締め付けられてきます。
「あはは。お姉ちゃんってば、すっごい反応です。相変わらず敏感ですねぇ」
楽しげに笑いながら、わたしは更に追い討ち。
秘華の傍で佇んでいる小さな尖り。そこに親指を添えると、力を込めてクリクリと押し転がします。
もちろん、三本の指も入れたままになんてしません。前後に出し入れしたり、壁をカリカリと掻いたりしたりと、思いっ切り大活躍をさせています。
舌だってフル活用です。お姉ちゃんの綺麗な背中や首筋を丹念に丹念に舐めあげます。
「あああぁっ! んっんんんっ! ふあぁぁぁァァあああっ!」
暴力的とも言える膨大な処理しきれない快悦を与えられ、お姉ちゃんは全身をピクピクと痙攣させ始めました。
「んああぁっ……っ……ひっ、ああああぁぁぁぁぁああぁぁ!」
鋭い嬌声を叫びっぱなし。既に、満足に呼吸すら出来ていないみたいです。
「んー、これはちょっとヤバヤバですかね。仕方ないです。一旦休憩を入れましょうか」
お姉ちゃんの限界を見て取ったわたしは、やむなく区切りを付ける事にしました。
「てなワケですので、一度サクッとイカせちゃいますね。前と後ろ、どっちで達したいですか?」
わたしはお姉ちゃんの耳元で尋ねました。
ですが、お姉ちゃんは甘ったるい声を迸らせるだけで答えてくれません。
「もう一回聞きます。どっちがいいですか?」
親指で淫らな核をグリッと押し潰しながら再度問いかけました。
「んぐぅゥゥッ! ぁ……ぅ……う、しろ……ぃ、や……おし、り……は、いや……」
「え? なんですか? お尻が良いんですか? まったくお姉ちゃんはエッチですねぇ。分かりました。リクエスト、受諾完了です」
「ち、ちが……違う、の……」
掠れた声でお姉ちゃんが何かを言ってる気もしますが……取り敢えず無視です。
今はお姉ちゃんに止めを刺すのが先決ですし。
「それじゃ、お姉ちゃん」
わたしは前の穴から指を抜くと、お姉ちゃんの一番敏感な粒を軽くキュッと摘みました。
と同時に、お尻に刺した指を激しく前後させ一気に追い詰めに掛かります。
「あああ、あぁぁぁぁぁっ、ああああぁぁぁあぁああああぁぁっ」
悦楽の波動に飲み込まれ、美しい裸身をガクガクと震わせるお姉ちゃん。
その様を満足気に眺めながら、わたしは挿入してある指をクイッと曲げ、
「イッちゃって下さいね♪」
腸壁を苛めながら勢いよく抜き出しました。
「ぁっっ! ああああああぁァあああああああァァあああああああぁぁぁァあぁッ!」
断末魔。そう表現するのがピッタリの叫びを上げながら、お姉ちゃんは法悦の極みへと。
背を逸らし、身体を硬直させ、時折ビクンと引き攣らせ、押し上げられた境地の味を全身くまなく髪の毛の一本一本に至るまで染み込ませていきます。
しかし、わたしの攻めはまだ終わりません。
「あれ? もしかして、さっきお姉ちゃんってば『お尻は嫌』って言ってたんですか? ごめんなさい、間違えちゃいました。だから、今のは無かった事にして下さい。ちゃんと『前』でやり直しますから」
白々しくそう言うと、わたしはお姉ちゃんの秘華に再度二本の指を根元までグッと突き刺し、滅茶苦茶に掻き回し、更に固くなっている過敏な女の核をギューッと押し潰しました。
「ぅぐっっっっっ、ひあっ、っ、ああああああぁぁっッァァああぁぁぁぁっっああああああぁぁぁぁ!」
絶頂感から開放されないうちにもう一段上の絶頂。
遥かな高みに強引に叩き落されたお姉ちゃんは、喉が張り裂けんばかりに声を放ちながら、
「わ。お姉ちゃん、凄いです」
膨大な量の潮を迸らせつつ、ガックリと崩れ落ちてしまいました。
「うふふ。派手に達しちゃいましたね、お姉ちゃん。けど、まだまだ終わりじゃないですよ」
半ば意識を喪失しているお姉ちゃんを見下ろして、わたしは熱く囁きました。
「これからもっともっと……えぅしっ!」
……あ、あれ?
「えぅしっ! えぅしっ! えっぅし!」
な、何でしょう。鼻がむずむずします。は、鼻水もズズッと。
……あ、あれれ?
こ、これって……まさか。
○ ○ ○
「えぅしっ! えぅしっ! えぅしっ!」
「まったくもう。お風呂場であんな事を延々としていたら風邪をひくのは当たり前でしょ」
クシャミを連発するわたしの額に冷たい濡れタオルを置きながら、お姉ちゃんが心底呆れた目を向けてきます。
「えぅー。な、なんでわたしだけ? お姉ちゃんはピンピンしてるのにぃ」
「天罰じゃない?」
お姉ちゃんに身も蓋も無く言われ、わたしは言葉を失ってしまいました。えぅーの音も出ません。
「ま、おとなしくしてなさい。後でお粥でも作ってきてあげるから。材料には事欠かないしね。――あ、そう言えば」
なにやら思い付いた顔をするお姉ちゃん。
何故でしょう。風邪とは別に妙な悪寒がします。
「長ネギ、買ってきていたわね。あれって確か風邪に効くのよね」
ええ、そう言います。首に巻く、でしたっけ?
「お尻に刺しても効くんじゃないかしら」
「え、えぅ!?」
い、今、サラッととんでもない事を言いませんでしたか!?
「うん、後で試してみましょう。期待していてね、し・お・り・ちゃ・ん」
「え、えぅーーーっ!?」
○ ○ ○
『しおりんの日記』
○月×日 晴れ
今日はお姉ちゃんに長ネギを使われました。
思わぬ逆襲を喰らい、ちょっぴりガックシな気分です。
この屈辱は近いうちに二倍・三倍にして返したいと思います。
――ちょっとだけ『良かった』のはここだけの内緒ということで。
< おわり >
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