「まだイクなよ、綾香。もう少し我慢しろよな」
「ああっ……あああっ……そんなの……む、無理……もうだめ、もうだめぇ……」
激しく腰を動かしながらの浩之の要求に、綾香が髪を振り乱して応える。
それを聞いてニヤリとした笑みを浮かべる浩之。
「だめでも我慢するんだ。勝手にイッたりしたらお仕置きするからな」
思いっ切り勝手なことを言い放つ。もうモロ悪党である。
「お仕置きだなんて、浩之さんって酷い人ですね。
綾香様、負けないで下さい。絶対にイったりしない様に頑張って下さい」
喘ぎまくっている綾香の耳元に囁くのはセリオ。セリフだけ聞くと、綾香を応援しているように思える。
だが、言葉とは裏腹に、セリオの手は綾香の豊かな胸を揉みしだいている。当然、乳首を刺激するのも忘れない。
どう好意的に解釈しようとも、セリオが綾香をイカせようとしているのは明白。
こちらも悪党の素質十分である。
「我慢なんてしなくてもいいんですよ。イッちゃいなさい、綾香ちゃん。ほらほら」
セリオとは対照的に、言葉でも積極的に綾香を追い詰めようとしているのは芹香。
穏やかな優しい口調で綾香を絶頂に導こうとしている。
尤も、彼女が綾香に施している攻めは、優しさとは程遠い激しいものだったが。
芹香は綾香の淫核を熱心に弄んでいた。くりくりと転がしたり、キュッと摘んだり。持っている技巧の全てを小さな粒に叩き込んでいた。
悪党の素質、以下同文。
「ひああぁぁあっ! ひ、ひどい、よぉ……っっ……さ、三人とも……あ、あたしばっかりぃ……んくっ……ふあぁっ……イッちゃ……イッちゃうよぉ……っっぁっ!」
綾香の腰がグンと跳ね上がる。身体中をビクビクと痙攣させながら、切羽詰まった叫びを迸らせる。
三人から同時に送られる激しすぎる快感に、綾香は既に崖っぷちギリギリ。いつ性の極点に叩き落とされてもおかしくない状態になっていた。
その様を見て、浩之・セリオ・芹香の三人がアイコンタクト。同時にコクンと頷き合うと、トドメとばかりに攻めを一層苛烈な物とした。
奥の奥まで突かれ、敏感な三つの突起を丹念に弄り回され、性感帯という性感帯を一度に刺激される。
途端、
「ぅああああああぁぁぁぁぁっっああぁあああああぁぁぁっっ!!」
弾けた。
「あーあ、イッちゃった。これでお仕置き決定だな」
「仕方有りませんね。浩之さんからの許しが出る前に達してしまったのですから」
綾香の絶頂姿を見ながらニヤニヤとした笑いを零す浩之とセリオ。そして、両名の言葉を聞いてコクコクと頷く芹香。
見事なまでに鬼畜な悪党ばかりである。
「覚悟しろよ、綾香。今日はたくさん涙を流してもらうからな」
「流していただくのは涙だけではありませんけどね」
「シーツ、グショグショになっちゃいますね。……うふふ」
悪党というよりはエロオヤヂの集団という気がしなくもないが。
とにもかくにも、四人の饗宴はこれからが本番であるようだった。
実際、綾香はこれから、絶頂に次ぐ絶頂の嵐のような一時を過ごすことになるのである。
浩之と芹香、セリオの三人が飽きるまで。
――で、あっと言う間に時は流れて夏休み。
当初は、四人だけでの旅行は周囲の者――特にセバス――に猛烈に反対されたのだが、芹香と綾香の誠意ある説得により納得させることに成功した。
あれを『説得』と表現して良いものかは、日本語的に甚だ疑問だったりするが……まあ、些事である。
「ふっふっふ。遂にやって来たぜ」
兎にも角にも、浩之・綾香・芹香・セリオの四人は、約束通り来栖川家所有のプライベートビーチへ。
「青い空、白い雲、足跡一つない砂浜。ブルジョア万歳! ブルジョア最高!」
女性陣が着替えている間に、浩之は一足先に海岸へ到着。
感動の余り、海に向かってシャウトしているのはご愛敬か。
そんなことをしつつも、パラソル立て、ビニールシートを敷いてアンカーで固定といった作業をしっかりとこなしていたりするのがマメを言うか何と言うか。
「やほー♪ お待たせ〜」
一通りの準備が終わり、浩之がシートの上に腰を下ろした瞬間、綾香たちが手を振りながら小走りでやって来た。
「ジャーン! どう見て見て♪ 今日のために新調したのよ」
言いながら、綾香がモデルのようにポーズを取る。
「浩之さん、どうでしょうか?」
「お気に召していただけると嬉しいのですが」
次いで、芹香とセリオが控えめに感想を求めてきた。
三人が着ている水着は同じデザインのビキニだった。もちろん、敢えてお揃いにしたのである。
但し、綾香の水着がマリンブルー、芹香が白、セリオが薄いオレンジといった色の違いは有ったが。
「おおーっ、良く似合ってるぞ。みんな、すっげー可愛い。加えて、布の表面積が小さいのもナイスだ。グッドジョブ!」
ビッと親指を突き刺して浩之が綾香たちを誉め称える。
「えへへ。ありがと」
「……良かったです」
「2時間かけて選んだ甲斐がありました」
浩之からの賞賛を受けて、綾香たちが全身から喜びを発散している。
「おおっ、2時間もかけてくれたのか? 俺は果報者だなぁ」
浩之が、顔をデヘヘとだらしなく崩した。
「更に更に、今日はこれからトップレスが待ってるわけだし。ホント、俺って三国一の幸せ者だぜ」
「……あ、憶えてたんだ」
完璧に顔を溶解させて宣う浩之。それを聞いて、綾香が微かに表情を曇らせて漏らした。
「もう忘れてるかと思ったのに」
「忘れるわけねーじゃん。すっげー楽しみにしてたんだからな」
「そ、そうなんだ。あ、あはは」
あからさまに『困ったなぁ』という様子を見せる綾香。
「おいおい。まさか、今になって“イヤだ”なんて言わないよな?」
半目になって浩之が確認してくる。
「そのまさか……していい? 出来れば、例の約束は無かったことにして欲しいんだけど」
浩之からついと目を逸らしつつ綾香がポツリ。
「えーっ!? なんだよそれーっ!? 話が違うじゃねーかよ。詐欺だ、詐欺」
納得いかないといった表情で浩之がブーイング。
綾香の少し後方では、芹香とセリオは『何を今更』とでも言いたげな顔をしながら、浩之の発したセリフに『ウンウン』と同意していた。
「だ、だって……は、恥ずかしくなってきちゃったんだもん。あの時はそんなに大した事じゃないと思ってたんだけど、やっぱり、外で脱ぐなんて……」
人差し指をツンツンと突つき合わせながら綾香が言い訳をしてくる。
「ねっ、お願い。今回は勘弁して。ねっ」
次いで、両手を合わせて許しを請う綾香。小首を傾げて上目遣いで訴える姿が激烈にプリティーである。
だが、今の浩之にとっては全く効果無しだった。
「却下」
浩之は綾香からの訴えをアッサリキッパリと跳ね返した。
芹香とセリオの顔に『当然です』といった色が浮かぶ。
「ううっ、やっぱし」
とりつく島もない浩之の態度に、綾香がガックリと肩を落とす。
同時に、口からは『ハァ〜』と深いため息が。
「当たり前だろうが。しっかし、約束を反故にしようとするとはな。まったく、けしからん奴だ」
腕を組みながらそう言うと、浩之はジトーッとした視線を綾香に注いだ。
「うううっ」
反論の余地もなく、綾香はただただ身を縮ませる。
暫しの間、その様を冷たいとも表現出来る目で見つめていた浩之だが、不意に、
「これは罰を与えないといけないな。悪い子にはお仕置きってのが世間の常識だし」
綾香に向かってニヤリと悪党笑いを炸裂。
それを聞いて、芹香とセリオが妙に楽しそうな笑みを浮かべつつコクコクと首肯した。
「え? 罰? お仕置き?」
並べられた不穏な単語の数々にいや〜な物を感じたのか、綾香が顔を露骨に引き攣らせる。
「な、なにをする気よ?」
「心配するな。別に無茶なことは要求しないぞ」
物凄く不安そうに尋ねる綾香に、浩之が安心させるように返した。
尤も、この状況で安心出来る者など皆無であろうが。
「ただ、罰として下も脱いでもらうだけだ」
「お断りよ! イヤに決まってるでしょ!」
さも簡単な事のようにサラッと言い放った浩之に、綾香が顔を真っ赤にして即座に突っ込んだ。
「上だけでも恥ずかしいのに下もだなんて冗談じゃないってか?」
「そうよ」
浩之の推測に綾香が頷く。
「ふっ。そんなの知ったこっちゃないな。だって、これは罰なんだぞ。相手が嫌がることをさせなければ意味がないじゃないか」
言い切る浩之。
芹香とセリオは『全く持ってその通り』と言わんばかりに力強くコクンと頷き。同時に、何やら手をモゾモゾと動かし始めた。
「そ、それは……まあ、確かに。で、でも、だからって、いくらなんでも暴走しすぎよ。そんなの、受け入れられないわ」
「そっか?」
「そうよ!」
浩之からの問いに、綾香が強い口調で返す。
「これくらい、容易いもんだと思うけどなぁ」
「どこが容易いのよ、どこが!?」
「容易いだろ? だって……」
噛み付かんばかりの勢いの綾香を軽く受け流して、浩之が彼女の後方を指し示す。
「既にアッサリと実行しちゃってる奴らもいるくらいだし。つーか、別にあいつらが脱ぐ必要はないんだけどな」
「へ!?」
慌てて振り返る綾香。
すると、そこには、
「……連帯責任です」
「はい。一人の罪はみんなの罪ですから」
一糸纏わぬ姿となっている芹香とセリオが。
二人とも、多少頬を染めながらも身体を一切隠そうとしていない。堂々と美しい裸体を晒している。
「外で全て脱いでしまうなんて……ちょっぴりドキドキです」
「そうですね。でも、この解放感。なんか癖になってしまいそうです」
おとなしい性格の割に、芹香とセリオは肝が据わっていた。今の状況も思いっ切り楽しんでいる。もちろん、浩之以外の男がいないからこそではあるが。
ともかく、土壇場で怖じ気づいてしまった綾香とは好対照と言えよう。
「ね、姉さん? セリオ? ま、マジ?」
予想外の光景に、綾香は思わずボーゼンとしてしまう。
その綾香に、セリオが呆れたような視線を向けてきた。
「なにを呆けているのですか。綾香様も早く脱いで下さい。これは罰なのですから」
そして、綾香に水着を取るように迫ってくる。
「そうですよ、綾香ちゃん。さあ、早く」
当然のように芹香も追随。
「な、なんで姉さんたちはそんなに平然としてるのよ!? あ、あたしはイヤ! 絶対にイヤなんだから!」
二人からのコンビ攻撃に多少タジタジになるが、それでも綾香は声を大にして主張する。
無意識に両腕で胸元を覆い隠しているのが、綾香の心境を如実に物語っていた。
「綾香様、ワガママ言わないで下さい」
「綾香ちゃん、往生際が悪いですよ」
「何と言われようとイヤ!」
脱がそうとする者と断固として拒む者。
そんな両者の意見に接点を見出せるわけもなく、このまま平行線を辿るという様相を見せ始めた。
しかし、
「そっか。綾香はどうしても脱ぎたくないのか」
「当たり前でしょ!」
「だったら仕方ないな。非常に不本意だが、俺たちの手で強引に脱がすとしよう」
「……へ?」
その場に、浩之が嘆息混じりで投入した一言で、二本の線は一気に交わることとなった。
「な、なによそれ!? 横暴よ!」
驚愕の叫びを上げる綾香。
「ナイスです。浩之さん、ナイスすぎです」
「さすがは浩之さんですね。外道さにかけては天下一品です」
対照的に、芹香とセリオは手を叩いて浩之の意見に大賛同。綾香の訴えは綺麗にシカト。
「はっはっは。お誉めの言葉、ありがとう」
浩之は、先ず、芹香とセリオに手を挙げて応えると、
「ほら、どうする綾香。自分で脱ぐか、俺たちに脱がされるか。好きな方を選んでいいぜ」
次に、綾香の方に目を向け、解答を求めた。
「……脱がなくてもいいって選択肢は?」
弱々しい声で綾香が浩之に尋ねる。一縷の望みに全てを託して。
「あると思うか?」
「あるわけないじゃないですか」
「無いですよ、綾香ちゃん」
異口同音に返してくる悪党三人衆。
「……ううっ」
この場に自分の味方は居ないという事実を改めて突き付けられる綾香。ガックリと落とされた肩が哀れを誘う。
「さあ、どうするんだ?」
浩之が再度答えを求めてきた。
「自分で脱ぐ」
暫しの逡巡の後、諦めたように綾香が呟いた。
「そっか。よく決断してくれたな」
満足そうに浩之が頷く。ただ、どういうわけか少々残念そうな顔をしていたりしたが。
「それでは、綾香様。どうぞ」
「可愛く脱いで下さいね」
セリオと芹香が目を輝かせて綾香に声をかける。とっても楽しげに。
「い、言われなくても脱ぐわよ。脱げばいいんでしょ、脱げば」
お気楽な外野の声に自棄っぽく返しながら、綾香は、手を一気に背中側へと運んだ。
そして、何度か躊躇いを見せた後、
「脱いで、やろうじゃないの」
自分自身に言い聞かせるように呟きつつ、スッと紐の結び目を解いた。
同時に、胸を覆っていた部分がハラリとずれる。
手を前に戻し、慌てて押さえる綾香。
「おいおい。隠しちゃダメダメだぞ」
「見せて下さい、綾香様」
「綾香ちゃん、スパッと脱いじゃいましょう」
途端に飛んでくる容赦ない声。
「わ、分かってるわよ」
綾香はか細い声でそう応えると、支えていた手をそっと外した。
重力に引かれてブラが落ちる。
「うむ。相変わらず見事なおっぱいだな。誉めてつかわす」
「綾香様、素敵です」
「……綺麗」
晒された綾香の胸を見て、浩之たちが賞賛の声を上げる。感嘆の吐息さえ漏れる。
しかし、綾香はそれらに構わずに続けてショーツに手を添えた。
「次、行くわ」
どうせ恥ずかしい思いをするのなら、さっさと済ませてしまおう。綾香はそう気持ちを切り替えたのだ。ブラを取った事で良くも悪くも吹っ切れてしまったのである。
少しだけ躊躇した後で、綾香は一気にショーツを脱ぎ捨てた。
「ぬ、脱いだわよ。これで、文句無いでしょ!」
やけくそ気味に綾香が喚く。
その綾香に「おおーっ!」という歓声と大きな拍手が送られた。
「非常に素晴らしい脱ぎっぷりであった。余は満足じゃ。天晴れ。グレイト」
浩之からのお誉めの言葉。
「そ、そう?」
それを聞いて、綾香はついつい満更でもない顔になってしまう。
結局、どんなに外道な事をされても浩之が喜んでくれると嬉しくなってしまう綾香であった。惚れた弱みかもしれない。
「ところでさ、綾香。話は少し変わるが」
「ん? なーに?」
小首を傾げて綾香が訊いた。
「お前、全身がすっごく真っ赤になっちまってるな。もしかして、早くも日焼けか?」
「はぁ!?」
浩之からのボケた問いに、綾香が素っ頓狂な声を上げる。
恥ずかしいからに決まってるでしょ! なにを戯けたことを宣ってるのよ!
呆れて言葉が出せなかった為、心の中で盛大にツッコミ大会。
しかし、浩之の次のセリフを聞いて、綾香は先ほどの発言が“狙っての物”だと確信した。
「あまり急激に焼くと肌に良くないぞ。てなわけだから、今の内にオイルを塗ろう」
言いながら、浩之は綾香の手を引いてパラソルの下へ。
厚意で言っているようにも聞こえるが、浩之の目に宿っている悪戯っ子な輝きが全てをぶち壊していた。
綾香に嫌な予感が襲いかかる。既に親しみきってしまった予感が。
「ささ、お兄さんが優しく塗ってあげよう。全身くまなく隅々までね」
「ちょ、ちょっと待って!」
浩之の手をブンと振り払って綾香が脱出。
「オイルだったら自分で塗るわ」
「何を言ってるんだよ。一人じゃ塗れない所とかあるだろ。それに、変な塗り方して斑になったらどうするんだ?」
至極真面目な顔をして浩之が尋ねた。尤も、その真面目な仮面の下ではドロドロとしたタール状の欲望が渦巻いていたりするのだが。
「それは正論だけどね。でも、浩之にオイル塗りなんてさせられないわ」
大袈裟に肩を竦めて綾香が答える。
「なんで?」
素の表情で問い返す浩之。
「危険だもの。絶対にオイルを塗るだけじゃ済まない気がするし」
「うわ。ひょっとして、俺って信用ゼロかよ。ちょっとだけ傷ついたぞ」
僅かに顔を顰めて浩之がぼやく。第三者的には「本気で言ってるのか?」という物言いだが。取り敢えず、浩之にとっては少々納得がいかないようだ。
「あったりまえでしょ。“こういう点”に関しては浩之に対する信用はゼロ以下。はっきり言えばマイナスよ。何たって、前例がいろいろとあるからねぇ」
ジトーッとした目を向けて綾香が言い放つ。
自分でも思い当たることが『多々』有るため、ぐうの音も出せない浩之であった。
「だから、悪いけど、オイルはあたし一人で……」
「それはダメです。やはり、一人では綺麗に塗れませんから。ですから、わたしが綾香ちゃんにオイルを塗ります」
綾香の言葉を遮って芹香が立候補。
「わたしもお手伝いします」
更に、セリオも追随。
二人の手には、既にオイルがしっかりと握られていた。
「姉さんとセリオ、か」
二人の名乗りを聞いて、綾香の顔が微かに引き攣った。
綾香にとっては、芹香とセリオも要注意危険人物には変わりなかったから。
しかし、
「ま、いっか」
その割には何気にアッサリと了承した。
浩之に比べれば“まだ多少は”安心だと判断した為だ。
尤も、あくまでも“まだ多少は”レベルではあるのだが。
「それじゃ、お願いするわね」
「はい」
「お任せ下さい」
綾香が笑いかけると、芹香とセリオも柔らかな笑みで返した。
二人の表情には一切の邪念が感じられない。綾香は本気でホッとした。
だが、その安堵は一瞬で壊されてしまった。
「では、横になって下さい。仰向けで」
さり気ない芹香からの要求。
「あ、仰向け!? ちょっと姉さん! ダメよ、前は自分でやるわ! 背中だけで充分だってば!」
「気にしないで下さい。ほら、綾香ちゃん。暴れないで」
「気にするって! も、もう! ダメだって言ってるのにぃ」
浩之が相手だったならば殴ってでも止めさせたかもしれない。
けれども、相手が芹香ではそうはいかない。大事な大事な姉に手荒いことなど出来ない。
従って、モゾモゾと身体を揺する程度の、申し訳レベルの抵抗しか行えなかった。
「芹香様、わたしもお手伝い致します」
加えて、セリオも参戦。
格闘技のチャンピオンとは言っても女の子。しかも、綾香は格闘技界では小柄な部類に入る。
二人掛かりで押さえられれば、格闘技術を封じられた綾香に逃げ出すことなど不可能だった。
「綾香ちゃん、優しくしますからね。ですから、力を抜いて下さい」
「うううっ」
観念しておとなしく横たわる綾香。目からルルルーと流れ落ちる涙が如実に綾香の気持ちを語っていた。
「どうして、いつもいつもあたしばかりがこんな目に」
綾香の魂からの嘆き。
それを耳にした芹香とセリオは声を綺麗にハモらせて答えた。
『萌え萌えで可愛いからに決まってるじゃないですか』
「……もうどうでもいいわ。好きにして」
全てを諦めたように綾香が呟く。
「分かりました。好きにさせてもらいますね」
「では、始めます」
綾香のセリフを額面通りに受け取った芹香とセリオ。
自分の手にオイルを垂らすと、綾香の身体に優しく優しく塗り始めた。
肩や腕、足に這わされる四本の手。些かくすぐったさは感じるが、特におかしなことはしてこない。
どう穿った見方をしても、真面目にオイルを塗っているという結論にしか達することが出来ない。
ちょっと警戒しすぎだったかな。そう思い、綾香は「ふぅ」という吐息を漏らしながら身体と精神から緊張を解いた。
「……ん……っ……」
警戒を解いたことで、綾香の肌はストレートに刺激を受け止め始めた。
二人の手によってもたらされる感覚を素直に受け入れ始めた。
それは、綾香にとって“心地良い”感覚だった。
「……ぁふ……」
口が綻ぶ。無意識に声が出た。
(あ、あれ?)
綾香の脳裏に危険信号が灯った。
(な、なんで? どうしちゃったの?)
「……っ……っ……んんっ……」
慌てて、必死に口を噤む。開けたら、間違いなく放ってしまいそうだったから。
紛れもない嬌声を。
(あたし……変。変になってる)
芹香とセリオの手が動く度にピクンと身体を跳ねさせる綾香。
その様子を見て、二人が怪訝そうな顔になる。
「綾香ちゃん、どうしたのですか?」
「綾香様?」
不思議に思うのは当然だろう。両者とも“今の時点では”綾香に対して何もしていないのだから。
腕や足といった部位に、純粋にオイルを塗っていただけなのだから。胸や秘所といった強い性感を得られる場所は“まだ”触れてもいないのだから。
「……んくっ……ふぁ……っ……」
対する綾香、既に二人からの問いに答えられないような状況に陥っている。
最早、声を押し殺す事さえ難しくなっていた。
(あたし、感じてる。普通にオイルを塗られているだけなのに……凄く感じちゃってる。どうして? どうしてなの?)
自分の身体の過敏さが信じられずに綾香が心を乱す。頭の中で『なぜ? どうして?』という疑問が乱れ飛ぶ。
「おや? なあ、綾香。お前、ひょっとしてすっげー感じまくってる? なんか、非常に萌え萌えな顔をしてるぞ」
三人の美少女の裸でのやり取りをニヤニヤとした顔で眺めていた浩之。
綾香の悶える様を面白そうに見ていた彼は、綾香の耳元に口を近付けるとポソッと囁いた。
「な、なに言ってる、のよ。……ぁ……あ、あたし……ぅ……感じてなんか……」
即座に綾香が否定する。説得力の有無はともかくとして。
「ほお、そうかそうか。だったら試してみようか」
言いつつ、浩之は芹香に視線を送る。
それを受けた芹香。心得ているとばかりにコクンと一つ頷く。そして、綾香の乳首に指を添え、キュッと一回扱きたてた。
「ひあああっ!」
綾香が喉を逸らせて嬌声を迸らせる。全身がビクビクと震え、眦に涙が浮かぶ。
「ほら見ろ。たったこれだけで、この無茶苦茶派手な反応。これでも感じていないと主張するつもりか?」
綾香はハアハアと荒い吐息を零すのみで浩之からの揶揄に答えない。顔をプイと逸らせるのが綾香に出来る精一杯の抵抗だった。
「ん? どうなんだ?」
再度浩之が求める。同時に、芹香がもう一度乳首を摘んだ。
「ああっ……あああぁあぁぁっ! なんで? なんでなのよ? あたし、どうしてこんなに……」
言外に、自分が感じていることを認める綾香。
「それは、あれだ。綾香の本性が『マゾマゾのいじめてちゃん』だからだな」
うんうんと何度も首を縦に振りながら浩之が宣う。
「綾香はいじめられればいじめられるほど燃えてしまうマゾマゾ性質なんだよ」
「う、ウソよ。あたし、マゾなんかじゃ……」
「俺たちの前で水着を脱ぐ時、なんのかんのと言いながらも実は興奮してたんだな、きっと。その所為で身体がすっかり出来上がっちまったんだ。ちょっと触られただけで感じてしまうくらいに。なにしろ綾香はマゾマゾだからな」
綾香からの反論を完璧に聞き流して、浩之が更に話を進める。
「そうですね。綾香ちゃんはマゾマゾちゃんですからね」
「綾香様はマゾマゾ。まったく同感です」
追い打ちをかけるように浩之に同意する芹香とセリオ。わざとらしく『マゾマゾ』を連呼する。まるで、綾香の脳裏に刻み込もうとしているが如く。
「あたし……っ……ち、違……。あたし、マゾじゃ……な、ない」
綾香が弱々しく頭を振って否定する。
「むぅ。まだそういうことを仰るのですか。綾香様、往生際が悪いですね」
セリオが些か不満そうに唇を尖らせる。
「まあまあ、いいじゃないか。どうせ、すぐに認めるようになるんだから。そうだよな、先輩」
「はい」
答えつつ、芹香が綾香の胸を優しく揉み始める。
「ふああっ……や……ね、姉さん……やめ……」
途端に喘ぎを漏らす綾香。
「ねえ、綾香ちゃん。綾香ちゃんは本当にマゾマゾじゃないのですか? それでしたら……」
一旦言葉を止め、芹香は固く凝った綾香の突起をコロコロと転がし回した。
「ああぁぁっ! そ、そんな……ぅあ! ひああっ!」
「ここ、どうしてこんなになっているのでしょう? さっきよりもずっと固くなっちゃってますよ。みんなからマゾだと指摘されて、興奮してしまったのでしょう?」
言葉でいじめる芹香。当然、その間も指は止まらない。
「ち、ちが……違うぅぅ! あたし、あたし、んああぁ、あああぁぁ」
「うそつきです」
一言で斬り捨てる芹香。
綾香からの返答を非難するように、乳首をギュッと強く潰した。
「痛っ……姉さん、ひ、酷い……んくぅ……んんぁ……」
「綾香ちゃん、痛いのが気持ちいいのでしょ? ここ、もうカチカチです」
揶揄しながら、芹香は二つの突起に満遍なく刺激を与え続ける。
「あひゃあぁぁ、ひぃ……っあああ」
面白いように反応を示してくれる綾香に満足感を憶えつつ、芹香はセリオに目で指示する。
それを受け、セリオが綾香に手を伸ばした。太股を優しく撫で回す。
「ふあっ!」
鋭い声を発する綾香。
「あああっ! あああああっっ! ぅあああぁぁ!」
セリオが指を動かす度に熱い喘ぎがこぼれ落ちる。
上半身に全ての意識が向いていた所に、突如として襲ってきた下半身からの快感。ノーガードの場所に与えられた鋭い悦楽。
それは、綾香を容易く翻弄した。
「せ、セリオ……ぁぁ……や、やめて……」
綾香の注意が下半身に行く。
すると、
「綾香ちゃん、可愛いですよ。もっと悶えてみせて下さいね」
タイミングを計っていたかのように、芹香が二つの尖りきった粒をキュッキュッと扱いた。
「あああぁぁぁっ……ねえさ……んんんんっ……」
再び綾香の意識が上へ。
「綾香様、もうビショビショになってますね。はしたない」
その瞬間、セリオが綾香の秘裂をスルスルと撫で上げた。
「っっ! そ、そこ、だ、め……セリオ……ゆるしてぇ」
上半身と下半身。双方に施される巧みな愛撫。弱点を知り尽くした二人による連携プレー。
「ぁ……あ、あたし……も、もう……」
身体には全く力が入らず、頭の中は真っ白。
綾香は早くも追い詰められていた。
「ぅあ……イキそ……あたし、イッちゃ……も…ダメ……」
背がグンと弓なりになり、綾香の全身に痙攣が走る。
だが、
「…………ぁ」
綾香が弾けようとしたまさにその時、芹香とセリオは申し合わせたように手の動きを止めた。
「……な、なぜ?」
呆然と綾香が呟く。しかし、言った後でその意味に気付いたのか、慌てて口を噤み、顔をプイと横に背けた。
その綾香を、意地悪い笑みを顔に貼り付けて見下ろすセリオと芹香。
綾香の問いに答えることなく、二人は愛撫を再開した。
「ふああぁ! ちょ、ちょっと待っ……そ、そんなぁ……」
「綾香ちゃん、そろそろ本気出しちゃいますね」
「わたしも」
芹香とセリオはそう宣言すると、今までの攻めに舌を加え始めた。
「っっっ、ああっ……あぐぅぅぅ」
指を身体中の性感帯に這わせながら、舌で急所を責め立てる。
舌の持つ柔らかさ、熱、感触、それら全てが綾香には脅威だった。感じすぎた。苦しいほどに。
「ひあああっっっ! ああ! んんっ! んんんんんんんんっっっ!」
刺激に耐えきれず、綾香が達しそうになる。
「……ぇ?」
途端、先ほど同様に止まる攻め。
「……ぁ……っ……」
唐突に与えられた休息。綾香の身体から熱が引いていく。
しかし、それが引ききらないうちに、
「んくぅ! あひぃ! あああぁぁあぁぁぁああ!」
再開。
「簡単にはイカせてあげません」
「わたしたちの技巧。たっぷりと楽しんで下さいね」
「そんなぁぁぁ……ひ、ひど……ひどすぎる……ふはああぁぁ」
イキそうになると止められ、少し休んではまた快楽の泥沼に叩き込まれ、気をやりそうになると再び止まる。
その繰り返し。終わりのない性感地獄。
だが、
(あたし……なんで? こんなに酷いことされてるのに……辛いのに……それが、死ぬほど気持ちいい)
綾香の身体は悦んでいた。受け入れていた。狂おしいほどに歓迎していた。
(あたし、本当にマゾなの? いじめられて……嬉しがっているの?)
否応なしに叩き付けられる快楽。理不尽な性罰。
それらを、結局は甘受してしまう自分。
(そっか。あたし……マゾ、なんだ)
今まで形だけでも拒んでいたものを、綾香は遂に自分から心に刻み込んでしまった。
「綾香様、そろそろイカせてほしいですか?」
「いじめられて悦ぶマゾマゾちゃんだと認めたら、思い切りイカせてあげますよ」
だからだろう。
「み、認めます! あたしは、あたしは、いじめられて悦ぶマゾです! お願い、イカせて! もう我慢できないの! お願いだからイカせてぇ!」
少しの躊躇もなく叫んでしまった。
「うふふ。そうですか。では、イカせてあげますね」
綾香の予想以上の素直さに、思わず驚いてしまう芹香。しかし、すぐに気を取り直すと、聖母のような微笑みを浮かべて綾香に囁いた。
「ところで、綾香ちゃん。イクの、わたしたちの指と舌でいいのですか?」
「……え?」
「それとも」
そう言うと、芹香はとある方向へ視線を動かした。
つられて、そちらへ顔を向ける綾香。
するとそこには、彼女の愛する者の姿があった。
「わたしたちの戯れを見て、浩之さんの準備もすっかり整ってしまったみたいですね」
セリオの指摘通り、浩之の雄槍は既に臨戦態勢となっていた。目の前で饗宴を繰り広げられれば無理からぬ事ではあるが。
「どうします? わたしたちがいいですか? それとも」
「浩之がいい。あたし、浩之でイキたい」
迷う素振りも見せずに、熱に浮かされたような表情で綾香が即答。
「そうですか。では、浩之さん、お願いします」
「おう、待ちかねたぞ。って、なんか『用心棒の先生、お願いします』のノリだな」
芹香の呼びかけに、冗談混じりで応える浩之。
浩之は綾香のすぐそばに腰を下ろして胡座をかくと、
「さあ、綾香。来いよ」
綾香へと手を伸ばして、促した。
「……うん」
力の抜けきった身体を、綾香は、芹香とセリオの助けを借りながら浩之の元へと運ぶ。
座った姿勢の浩之からそそり立っている物に、綾香が自分のオンナを宛う。触れ合った瞬間、辺りにクチュリという水音が響いた。
「ね、ねえ、浩之」
「ん? なんだ?」
「あたしね、もう、完璧に出来上がっちゃってるの。多分、挿れただけで達しちゃうと思う」
頬の朱色を更に濃くして、綾香が恥ずかしげに告げる。
「だから、その前に……キスしてほしい。あたし、浩之とキスしながら……イキたい」
ボソボソと小声でのお願い。
「構わないぜ。俺も、綾香とキスしたいしな」
浩之は綾香の願いを了承すると、綾香の両頬、おでこ、鼻の上にチョンチョンと口付けた後、
「……ん……ぅん……っ……」
綾香と吐息を絡ませた。
「あらあら、ラブラブですね」
「綾香様、嬉しそうなお顔をなさっています」
二人のキスシーンを、羨ましさと微笑ましさの混じった目で眺めていた芹香とセリオ。
アイコンタクトを交わし、コクンと頷き合うと、綾香を支えていた手からゆっくりと力を抜いていった。
「……っ! んんっ! んんっ!」
結果、綾香のオンナは浩之の雄を奥の奥まで飲み込むこととなった。
「んっんんんんんんんっっんんんんんんんんんんんんんっっ!!」
宣言通りに、挿入しただけで綾香が達する。
「……っ……んっ……ぅぁ……んんっ……」
浩之の口内に長い長い叫びを迸らせた後、綾香は自分の全身をクタッと浩之に預けた。
「綾香? 大丈夫か?」
雄器がギューッと痛いほどに締め付けられる感触に僅かに顔を顰めながら、浩之が綾香を気遣って声を掛ける。
「……うん。……平気」
浩之の胸板に頬を擦り付けながら綾香が答えた。
「それより……ごめんね。あたしだけ、一人で……」
「気にするなよ。いつものことだしな」
冗談めいた意地悪い口調で、けれども、穏やかな表情を浮かべて浩之が返す。壊れ物を扱うような手で、綾香の頭を優しく優しく撫でる。そして、目を閉じ、綾香の柔らかな髪に顔を沈めた。
「……ばか」
拗ねたように言いながら、綾香が尚も擦り付ける。今度は頬だけではなく全身を。愛しい人を身体中で感じたくて。
綾香にとって至福の時。大好きな人に心から甘えられる、何物にも代えられない一瞬。
しかし、
「ひああああああっ! ああっ! あああぁぁああああぁぁぁぁあぁぁ!」
そんな幸せタイムはあっと言う間に破壊された。
突如、大声を張り上げる綾香。
「あ、綾香!? どうしたんだ!?」
ビックリした浩之が目を開けると、綾香の身体に向かって四本の腕が伸びているのが見えた。
「綾香ちゃん、いくらなんでも一人でラブラブしすぎです」
「まったくですね」
妙な迫力を感じさせる芹香とセリオ。ジェラシーオーラが漂っているのが見える。
「悔しいですから、鳴かせちゃいます」
「良い声で囀って下さいね」
言うやいなや、セリオが綾香の淫核に、芹香はあろう事かお尻の穴へと指を這わせた。
「うあああああっ! ひあ、ひあぁ、んくぅぅぅぅ!」
身も世もなくよがりまくる綾香。
張り裂けんばかりに口を開いて叫びまくる。
「ここ、すごく大きくなってます。きっと、物凄く過敏になってることでしょうね」
優しげな口調とは裏腹に、セリオが荒い手つきでグリグリと淫粒を弄くり回す。
「あぐぅぅぅ……やあぁあぁぁぁああああ……」
「綾香ちゃん、こんな所も綺麗で可愛いです。感度も良さそう」
楽しげに言いながら、芹香が後ろの穴へ指を宛い、
「ひっ! そ、そこだめぇ……だめぇぇぇ」
差し入れた。
そのタイミングに合わせて、セリオが淫核を捻る。
「っっっっっ!」
綾香の全身が硬直。目が大きく見開かれた。
そして、トドメを刺すように、芹香が中に挿れた指で壁を軽く引っ掻き、セリオが敏感すぎる突起を押し潰した。
「あああああぁぁああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁ!!」
刹那、姉と親友の手によって、綾香は昇り詰めた。昇り詰めさせられた。
しかし、二人の指は止まらない。尚も刺激を与え続ける。
「お、おいおい、二人とも」
芹香とセリオの雰囲気に押され、それまでポカンと呆気に取られていた浩之。
漸く我に返ると、二人を止めに入ろうとした。
だが、
「ぁぁ、あああぁぁああ! んんんんっ! ひああぁぁぁ!」
「あ、綾香。……も、萌え」
綾香の喘ぎ顔を直視してしまった浩之は、そこでモードが切り替わってしまった。
ラブラブモードから悪党モードへ。
そこへ、追撃の悪魔の囁き。
「綾香ちゃん、浩之さんにいじめられたがってますよ」
「浩之さん。綾香様の可愛いお顔、もっと見たくはありませんか」
「腰を、一回グンと強く動かしてみて下さい」
「そうすれば、綾香様はもっともっと可愛らしくなりますよ」
浩之、まるで催眠術か何かにかかったかのように、二人の言うとおりに素直に腰を動かす。思いっ切り勢い良く、強く。
「ああ、っ、や、やあ、いやああああぁぁぁああああああぁぁぁぁぁ!」
綾香、呆気なく再度の昇天。
悪党三人衆を更に燃え上がらせてしまうような、魅力的すぎる表情を晒して。
「こ、これは、ひっじょーに萌え萌えですな」
「萌え萌え、ですね」
「萌え……まるで綾香様の為にあるような言葉です」
この瞬間、悪党三人衆――と言うよりは、野獣三匹と言うべきか――から理性が消えた。
「一番! 藤田浩之! 突いて突いて突きまくらせていただきます!」
「二番、来栖川芹香。綾香ちゃんのお尻をいじめます」
「三番、セリオ。綾香様の胸とその他諸々、前全般を攻めさせていただきます」
お互いに役割分担を確認しあい、そして、言葉通りに動き始める。
「いやぁぁぁ、も、もう、もう、許して……あたし、死んじゃ……ああっ……うああぁ」
何とかこれ以上達しないようにと歯を食いしばる綾香。
しかし、三人同時コンビネーション攻撃に耐えられるはずがなく、
「あああああぁぁぁぁっああああぁああああっあぁああああああ!!」
アッサリと飛ばされた。
「ひああああぁあぁぁぁぁぁぁ! うあああぁぁぁぁぁぁ!」
何度も。
「ああ! ふぁあああああぁぁぁぁぁぁぁ! んんんんんんんんんんっっ!」
何度も。
浩之たちが飽きるまで、綾香は絶頂界へと定住させられてしまうのであった。
「ぅあああああああぁぁぁぁぁああああっぁぁああぁあああああっっ!」
「ほらほら! この程度でバテないでよ!」
「む、無茶言うなよ。お前、俺たちを殺す気か?」
不満そうな声をぶつけてくる綾香に、浩之が息も絶え絶えといった風情で言い返す。
「見てみろよ。先輩もセリオも既にKOしてるじゃねーか」
そう言って浩之が指差した先には、グッタリとしている芹香とオーバーヒート寸前になっているセリオの姿があった。
「だらしないわねぇ。ちょっとビーチバレーをしたくらいで」
「6試合は、世間様では“ちょっと”とは言わない」
口を尖らせる綾香に浩之がボソッと反論。
「そうかなぁ? 単に浩之たちが軟弱なだけなんじゃないの?」
勝ち誇った笑みを浮かべて宣う綾香。
それを見て、
(くそ。いい気になっていられるのは今だけだからな。夜になったらまたヒーヒー鳴かせてやる。こうなったら、今日は6回失神させてやる。ビーチバレー1試合につき1失神だ。決まり)
などという、邪な復讐心をメラメラと燃え立たせる浩之であった。
「ねえ、浩之。もう一試合しましょうよ。なんだったら一対一でもいいわ」
「やめといた方がいいと思うぞ」
「なんでよ?」
「後で、絶対に後悔することになるから」
ニヤリといつもの悪党笑いを浮かべる浩之。
「後悔? 別に構わないわよ」
「お? 言ったな? 本当にどうなっても知らないからな」
この時、浩之の頭の中では「今日は失神7回だな」と数字が修正されていた。
ついでに、今晩ベッドの上で晒されることになるであろう綾香の媚態を想像して少しデヘヘ。
その為、浩之は気付かなかった。
「本当に……後悔なんかしないわよ」
綾香の瞳に、淫靡な炎が宿っていることに。
なにかに期待するように、彼女の胸の先端が尖り始めていることに。
綾香に、自分の思考が完全に見通されていることに。
「よっしゃ! それじゃ、もう一試合行くぜ!」
「ええ。何時でもどうぞ」
来栖川家所有のプライベートビーチを舞台にした夏の淫劇。
それは、まだまだ始まったばかりであった。
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