(ランス×サテラ(鬼畜王ランス))


「ふぁっ……あ、あぅぁ……」

 豪奢な調度品に彩られた――部屋の三分の一以上のスペースを巨大なベッドが占めている――室内に、少女の甘い鳴声が響き渡る。
 少女の名はサテラ。魔人サテラ。燃える様な赤い髪を持つ美しい娘である。
 そのサテラから嬌声を搾り出している者。
 名をランスと言う。更に正確に記すならば、魔王ランス。
 この世のありとあらゆる生物の頂点に立つ存在であり、人間にとっての恐怖の象徴。
 そして、魔人にとっての絶対的支配者。
 尤も、

「がはは。相変わらず敏感な身体をしているな。どこに触られても感じまくってるじゃないか。うむ、実にグッドだ」

 言動だけを見たならば、単なるスケベな馬鹿男であったが。

「うぅ、っ、ら、ランスぅ……ああっ」

 そんな好色一代豪快さん魔王であるランスに身体中に指を這わせられ、サテラは息も絶え絶えに身悶えた。
 驚くほど過敏な肉体を持つサテラ。それこそ、耳を指で擽られただけで果ててしまう様な多感症のサテラである。ランスが指を躍らせる度に、声を張り上げて、身体をビクッと震えさせた。今にも、すぐにでも絶頂に達しそうになる。

「ひあぁっ、っん! ぅくっ!」

 しかし、耐えていた。サテラは必死に耐えていた。
 歯を食いしばり、ベッドのシーツをギュッと握り締め、顔を左右に激しく振って、死に物狂いで耐えていた。

「そうだ。まだイクなよ。俺様が許可するまで我慢するんだ」

 口元に意地悪い笑みを浮かべてランスが命じる。
 サテラの引き締まった太股を撫で擦りながら、無駄な肉の付いていない腹で指を蠢かせながら。

「だ、めぇ……も、もう、もう……んあぁ……サテラ……無理、無理だよぉ……ふひゃぁっ、っ、ゆ、ゆるし……」

 瞳から大粒の涙を零して慈悲を求めるサテラ。もう限界だった。辛抱できるレベルなどとっくに超えていた。
 だが、それでも尚サテラは耐えた。肉体の爆発を精神で無理矢理に抑え込む。
 魔人は魔王の命令には逆らえない。そして、それ以上に、サテラ個人にとってランスの言葉は絶対であった。
 それ故、必死に、気力の全てを使って堪える。堪え続ける。

「偉いぞ、サテラ。それでこそ俺様の女だ」

 絶望的な闘いに身を投じているサテラを眺め、ランスが満足そうに笑みを漏らした。

「しっかし、凄いことになってるな。乳首もビンビンに固くなってるし」

 言いつつ、サテラの充血しきった胸の尖りに「ふぅ」と軽く息を吹きかける。

「あひぃぃ! ラン……ま、魔王様……だめぇぇぇ!」

 たったそれだけでサテラは裸身をガクガクと震わせた。
 襲ってくる激感に囚われぬように、血が出んばかりに拳を握り締める。

「こっちもドロドロのぐっちゃぐちゃ。実にでりしゃすでナイスな感じになってるぞ」

 ランスは、サテラの秘華にも吐息で刺激を加えた。若干勢いを強めて、「ふっ、ふっ」と何度も。その度に、満々と溢れ出している白みを帯びた蜜が周囲に飛び散る。

「っ! ああっ! ああ゛あ゛ぁぁああぁっ!」

 サテラの背がググッと反らされ、全身が病的とも言える激しい痙攣をみせた。
 肉体はとうに堕ちている。そして、今まさに精神までもが崩壊しようとしていた。

「……ふむ、さすがにそろそろやばいか」

 その壮絶な様を見て、ランスは空気での愛撫を止める。
 途端、サテラの身体からスーッと力が抜けた。まるで吊られていた糸が切れた様に、背中がガクッとベッドに落ちる。
 虚ろな目をして荒い息を吐き零すサテラ。半ば意識が飛んでいた。

「まだ、もう少し遊びたかったところだが……仕方ないな。じゃあ、この辺で勘弁してやるか」

 言いながら、ランスはサテラのオンナに己の滾った牡肉を宛がう。

「サテラ、今度は我慢しなくていいぞ。お前にしては頑張ったからな。褒美だ。たっぷりとイキまくれ」

 そう宣告すると、ランスは一気にサテラを刺し貫いた。
 刹那、サテラの目が大きく見開かれ、

「っ!? っあ! あ゛あぁああああぁぁあああああぁっ!」

 弾けた。木っ端微塵に砕け散った。
 溜めに溜められた末に解き放たれた悦楽に、サテラの肉体が、心が、全てが溶け壊される。

「がはははは。ギュウギュウ締め付けてくるぞ。膣はヌメヌメだしグチョドロだし、最高にでりしゃすだ」

 心地好さに満悦し、ランスが豪快に高笑いを放つ。

「実にナイスな感触だな。褒めてやる。グッドだ」

 未だ絶頂の真っ只中にあるサテラに構わず、ランスが腰を激しく動かし始めた。
 口元をニヤリと歪め、叩き付ける様な勢いでサテラの最奥を突きまくる。

「はひっ! んあぁっ! ま、待って……っ! ふあっ! す、少し……少しだけ、でいいか、ら……んんっ! や、休ま、せ……ぁああァァ!」

「がはは。遠慮するな。そら! そら! 思う存分感じまくれ!」

「そ、んなぁっ! 許し、て、許してぇぇ! っ! ぁ! い゛ぁぁあああああっぁぁ!」

 懇願を無視して律動を続けるランスに、サテラはアッサリと再び高みへと跳ね上げられた。
 甲高い声で極まりの証を迸らせる。
 しかし、ランスは止まらない。止める気配すら見せない。

「ぁぁぁ……だめぇ……もう、止まって、よぉ……ふぁぁ! んくぅぅぅぅぅっっ!
 しんじゃ……しんじゃふからぁ……おねが……ああ゛あぁああぁぁ!
 っ! っっ! らめぇ! もう、ほんろにらめぇぇ、ぇえ゛ええぇぇえぇ!
 ……ゆ、ゆるひて……ゆるひてくらはい……うぅっ……ごめんらさい、ごめんらさ、ぁぁ、ああぁぁあっ!」

 連続して昇天させられるサテラ。許しを請いながら。解放を願いながら。
 限界だった。先程までとは別の意味で限界を超えさせられていた。
 このままでは間違いなく狂わされる、快感で殺される。その恐怖心から、サテラは泣きじゃくった。

「やれやれ。しょうがねーな、まったく」

 微かに苦笑を浮かべると、ポリポリと頭を掻きつつ、ランスはサテラの中から己を引き抜いた。

「そんじゃ、ちょっと休憩だ」

「……ご、ごめん……ランス」

 荒い息の中、サテラが小さな声で謝罪する。
 主に行為を中断させてしまった申し訳なさ。愛する者を満足させられない悔しさ、情けなさ、歯がゆさ。
 それらの負の感情がサテラの中で蠢いた。激しい自己嫌悪に襲われる。
 そんなサテラの様子にランスは軽く肩を竦めると、徐にズイッと肉槍を――ランス曰くハイパー兵器を――突きつけた。

「え? ランス?」

「休んでる間、ただボーっとしててもつまらんだろ。ほれ。口とか手とか使って俺様を気持ちよくしてくれ。セックスはきつくても、これなら大丈夫だろ?」

 サテラの頭にポンと手を置いてランスが命じる。

「うん」

 コクンと素直に頷くサテラ。
 ランスの物に手を伸ばすと、恐る恐るといった手付きでゆっくりと扱き始めた。
 同時に、先の部分にチロチロと舌を這わせる。

「お、おおう。少したどたどしいが、そこがまた何とも……」

 サテラの手技を受け、ランスが心地良さげな声を上げた。
 その声に勇気付けられるように、サテラの動きが徐々に大胆になっていく。
 汚名返上とばかりに、熱心に丹念に愛撫を施す。
 強くなりすぎない程度に力を入れて揉み、擦った。
 口を精一杯大きく開いて咥え込み、先端部分を舌で擽る。

「うおっ……あ、あへ」

 サテラの技術は決して上手くない。どちらかと言えば稚拙ですらあった。
 だが、心から「喜んでもらいたい」という気持ちの入った愛撫は充分ランスを昂らせる。

「よ、よし。出すぞ。出すぞ!」

 急速に射精感を促されランスが叫ぶ。
 と同時に、ランスは一物をサテラの口から引き抜いた。

「え? えっ!?」

 てっきり口内に射精されると思っていた為、サテラが意表を衝かれた顔になる。
 そのサテラを強引に押し倒して四つん這いの格好を取らせると、ランスは有無を言わさず未だに濡れそぼっている秘華を貫いた。

「――っ!」

 突如襲ってきた強い快感に声も出ないサテラ。

「休憩は終わりだ! うおぉ! 受け取れ!」

 サテラの身体の奥の奥でランスが快感を解き放つ。

「ああぁっ! ひぅ! ふああ゛ああぁぁああ゛あ゛あああぁあああぁぁぁぁぁ!」

 熱い迸りを受け、サテラもまた弾けた。背を思い切り反らした姿勢で硬直し、涙に汗、涎、更には潮まで噴いて激しく気をやる。

「……ふぅ、スッキリした」

「ぁ……ぁぁ……ぅ……」

 満足感溢れる晴ればれとした顔で額に浮かんだ汗を拭き取っているランスの横で、サテラはガックリと身を崩し、強烈な絶頂の余韻に身体を震わせていた。

「……ぁっ……ぁ……っ!? そ、そんな!」

 しかし、いつまでも余韻などに浸っている事は許されなかった。
 再び送り込まれる悦楽に、サテラが狼狽した声を上げる。

「さて、それじゃ続いて第二ラウンドだ」

「ち、ちょっと!? ま、待って! お願い! 待っ……あ、あああぁぁぁ!」

 サテラの静止も聞かず、ランスは悠々と腰を動かし始めた。

「今日も朝まで寝かせないぞ。なーに、大丈夫、心配するな。ちゃーんと休憩を挟みながらやってやる。俺様はジェントルマンだからな」

 人間だった時から精力旺盛で絶倫だったランスである。
 魔王となり、人間とは比べ物にならない無尽蔵ともいえる体力を得た彼が、一度や二度精を放ったくらいで満足するはずもなかった。

「がははははは! グッドだ!」

「あ゛あ゛っ! うあぁぁああぁああああぁあっ!」

 再度、狂わんばかりの快楽に叩き込まれるサテラ。

 ――夜は、まだまだ始まったばかりであった。




< おわり >

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